東京高等裁判所 平成3年(ネ)1334号 判決 1992年3月11日
控訴人
株式会社忠実屋
右代表者代表取締役
高木吉友
右訴訟代理人弁護士
谷健太郎
同
下飯坂常世
同
広田寿徳
同
竹内洋
同
若林茂雄
控訴人補助参加人
八島貞夫
右訴訟代理人弁護士
谷口隆良
同
谷口優子
被控訴人
遠矢大
同
遠矢徹
同
遠矢明大
同
遠矢真人
右明大、真人法定代理人親権者父
遠矢大
被控訴人ら訴訟代理人弁護士
濱田源治郎
同
柴田憲一
右濱田源治郎復代理人弁護士
小林覚
主文
一 原判決中、控訴人敗訴部分を取消す。
二 被控訴人らの請求を棄却する。
三 訴訟費用は、第一、二審を通じ被控訴人らの負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴の趣旨
主文と同旨
二 控訴の趣旨に対する答弁
控訴棄却
第二 当事者の主張及び証拠
原判決事実摘示のとおりである。ただし、次のとおり付加訂正する。
1 原判決八枚目裏七行目の次に、次を加える。
「(五) 商法二三条の類推適用による責任について
仮に、控訴人が補助参加人に対して商号使用を許諾したことが認められないとしても、控訴人は、開設した被告店において自己の営業を行い、その店舗内の一部に補助参加人らいわゆるテナントをして出店を許したが、それらの者に対しても控訴人の統一的営業方針に従わせ、総合小売業者として店舗全体の営業を統一的に行っていたものであり、補助参加人らテナントの営業はあたかも控訴人の営業に組み込まれその一部となっているかの如き外観を呈し、控訴人の店舗内で買い物をする一般買物客からすると、特段の事情がない限り、補助参加人の営業を控訴人の営業と誤信するのはむしろ避け難いというべきであるから、補助参加人の営業と控訴人の営業とを区別するに足りる何らかの標識が備えられていない限り、被控訴人は、そのような営業主体についての外観を作出をしたものとして、商法二三条の類推適用により、名板貸人と同様の責任を任ずるというべきである。
すなわち、控訴人は、その経営するいわゆるスーパーマーケット営業店舗の一つとして被告店を開設し、その全館において、食料品、衣料品、家具類、電機製品、化粧品からペット類に至るまで種々の商品の販売やサービスの提供等の営業活動を手広くしているものであり、その一部の商品については、補助参加人らテナントとの間で、出店及び店舗使用に関する契約を締結し、その販売を担当させているが、同契約においては、控訴人が補助参加人の売上金を毎日定時に控訴人立会い及びレジススター記録照合の上管理すること、控訴人が管理した補助参加人の売上金は最高二五日経過後でなければ補助参加人に返還されないこと、控訴人は補助参加人に対し営業上の都合等の理由で契約場所の変更を求めることができ、他方補助参加人は控訴人の決定に異議なく承諾しなければならならいこと、補助参加人の営業の業務処理、経理内容、営業状態等に関し控訴人に報告しなければならないこと、補助参加人の毎日の売上高を控訴人に報告しなければならないことが定められているほか、更に、補助参加人らテナントが同契約により控訴人に支払うべき金額は、固定賃料の外、補助参加人らの売上高に一定割合を乗じた金額を加えた額であることを勘案すると、補助参加人らは同契約により控訴人の意向に殆ど逆らうことができない厳しい義務付けがされていた。
次に、補助参加人の営業形態自体からも、控訴人が作出したというべき、商号使用の許諾と同視されるほどの外観上の事実と評価される特別な事実が存する。
すなわち、控訴人は、補助参加人のペットショップを、他のテナント店とは異なり、控訴人が設置した子供用遊戯施設である「プレイランド」のみが存する被告店屋上に設置させたが、ペットショップとプレイランドは、親子連れ又は子供を主たる利用者と想定する営業である他、娯楽性を有する点においても共通する。そして、被控訴人徹が補助参加人店から本件インコを購入した際には、補助参加人の営業であることを示す看板が設けられていなかった上、控訴人は、屋上来場者の最も目に触れやすい場所に強い印象を与えるように、補助参加人の営業であることを示すことなく、単に「ペットショップ」及び「屋上遊戯場」と併記したかなり大きな表示板を自ら設置した上、補助参加人が四階から屋上に通じる階段にもペットショップの商品を多数陳列し、販売用の張り紙をしていることを黙認していたのであって、これらの事情からすれば、控訴人は、一般買い物客がプレイランドと補助参加人の営業種目であるペットショップとを判然区別できない形態で設置したというべきであり、このことは、控訴人が商号使用の許諾と同視できるほどの外観上の事実を作出したことに他ならない。
なお、館内表示板では、控訴人の直営売場を黒文字で、テナント店を青文字で表示されていたが、その記載は小さな文字でされ、その文字の色彩で買い物客が直営売場かテナント店かの判断をすることなど到底期待できるものではない上、買い物客がその表示板を見てから買い物をするとは限らず、仮に見たとしてもその主たる目的はその店舗の所在を知るためであって、その館内表示板が直営売場とテナント店との営業主体を明瞭に区別するものではない。また、ペットショップの包装紙、代済みテープが控訴人のものと異なり、控訴人の表示がないものであること、ペットショップの従業員が控訴人の従業員であることを示す制服や名札を着用していないことや、補助参加人の発行する領収書に控訴人の商号が記載されていないことは、いずれも一般の買い物客がそれほど重要視するものではないばかりでなく、包装紙等についてはペットショップで商品を購入する買い物客が控訴人の直営売場の包装紙等を現認できるわけではなく、制服等についても隣接するプレイランドの従業員も制服を着用していなかったのであり、補助参加人店の代金支払い方法がいわゆるスーパーマーケット方式ではなかったとしても、屋上にはプレイランドと補助参加人店しか存しなかったのであるから、特段異とするに足りないことなどからすれば、それをもって営業主体を識別する徴表として過大評価することは適当ではない。」
2 同一一枚目表九行目の次に、次を加え、一〇行目の冒頭に「(五)」を加える。
「(四) 商法二三条の類推適用による責任について
被控訴人らの主張は争う。
テナントである補助参加人は自己の名において、かつ、自己の判断で行政上の許認可を受け、仕入れ、販売等の営業活動を行っていたものであり、ペットショップの営業主が補助参加人であることは明らかであり、また、補助参加人との出店及び店舗使用に関する契約の内容は、一般の商業ビルの賃貸借契約において通常のものであって、そのことをもって、補助参加人の営業があたかも控訴人の営業に組み込まれた如き外観を呈しているとか、控訴人が商号使用の許諾と同視できる外観を作出したものということはできない。
また、子供遊戯施設のプレイランドが控訴人の営業にかかるとの点は否認する。同施設は訴外秋坂商会株式会社(以下「秋坂商会」という。)との間で、昭和五七年七月一日に出店及び店舗使用に関する契約を締結し、相模原点の四階(屋上に上がる階段の脇)と屋上の一部を合わせて賃貸し、同所で遊戯機械を設置して、プレイランドとの店名で出店することを許諾したものである。なお、秋坂商会は、補助参加人がペットショップを閉店した後、同所も新たに賃借して遊戯機械を設置している。控訴人が屋上に通じる階段に「ペットショップ」と「屋上遊戯場」と併記した表示板を設けたことや補助参加人が階段に商品を陳列し、販売用の張り紙をしていることを放置、黙認していたことをもって、商号の使用許諾と同視できる外観の作出であるということは到底できない。
商法二三条が類推適用されるためには、少なくとも商号の使用を許諾した場合と同視できる程度の外観上の事実の存在が必要であるというべきところ、本件においては、補助参加人の営業の形態がそのような外観を呈していたことはなく、かえって、以下の事情からすれば、補助参加人の営業と控訴人の営業は明確に区別されていたというべきである。
先ず、スーパーマーケット内にテナントが出店していることは良く知られているところである。そして、前記のとおり、控訴人と補助参加人との間の出店及び店舗使用に関する契約においては、補助参加人による控訴人の商号使用は禁止されており、被告店店内には、買い物客の便宜のため、要所毎に館内表示板が設置してあるが、それは控訴人の直営売場については黒文字でその取扱商品を、テナント店については青文字でその店名(補助参加人の店については「ペットショップ八島」)を併記しているのであり、館内表示板の一般的な機能からしても、補助参加人の営業と控訴人の営業とを識別させるに十分である。しかも、テナント店には、その屋号を表示した吊り看板が設けており、補助参加人の店にもその屋号である「八島ペットショップ」と記載した吊り看板が存在していた。
包装紙及び代済みテープは、営業主体を表示するものとして一般買い物客に対して絶大な識別力を有しているというべきである。補助参加人の店では控訴人の直営売場のものとは全く異なる独自のものを使用していた。また、いわゆるスーパーマーケットでは、店員が制服及び名札を着用していることは通例であって、それらが一般買い物客が直営売場とテナントとを識別する有力な手段であるところ、補助参加人の店員は控訴人の制服及び名札を着用していなかった。更に、領収書は、単に代金額の計算、確認のためだけでなく、商品についてのクレームを申し出る場合には、当該商品の販売店に領収書を持参して、返品、商品の交換あるいは修理を要求し、また、領収書は特典を受けたりする場合にも利用されるのであるから、それには、営業主体が明確に記載されているのが通常である。本件においても、補助参加人の発行する領収書には「八島ペット」と、控訴人が発行するものは、そのサービスマークのひまわりの絵と屋号の「忠実屋」と、それぞれ明記されている。加えて、被告店においては、控訴人の直営売場とテナント店との代金の支払方法は明確に区別され、かつ、一般買い物客に容易に識別できるようになっていた。」
3 原判決一二枚目表一行目の次に、次を加える。
「三 抗弁
仮に、控訴人が、補助参加人に対して、商号使用を許諾し、あるいは、その許諾をしたと同視できる外観を作出したものとしても、被控訴人遠矢徹には、補助参加人の営業と控訴人の営業を誤認するについて重大な過失がある。
四 抗弁に対する認否
抗弁事実は否認する。」
理由
一本件インコの売買とオウム病の発生の点については、原判決の理由(原判決一三枚目表七行目から一七枚目表一一行目まで)と同一であるからこれを引用する。
二そこで、以下、その余の点についての判断を暫く置き、控訴人の責任の存否について判断する。
1 請求原因5(一)ないし(三)の主張に対する判断は、その点に関する原判決の理由(原判決一八枚目表三行目の「前認定の事実」から七行目の「理由がない。」まで)と同一であるからこれを引用する。
2 請求原因5(四)の主張について検討する。
(一) 被控訴人徹が補助参加人から本件インコを購入した際、控訴人と補助参加人が異なる営業主体であるという認識を欠いていたことに関する判断は、原判決の理由(二六枚目表四行目の「成立に争いがない」から裏六行目まで)と同一であるからこれを引用する。
(二) 控訴人の営業の概要及び控訴人と補助参加人との間の出点及び店舗使用に関する契約の内容については、その点に関する原判決の理由(原判決二六枚目裏七行目の「成立に争いのない」から二九枚目裏八行目まで)と同一であるから、これを引用する。
右に認定した事実関係の下においては、控訴人が補助参加人に対し、控訴人の商号の使用に関して明示の許諾はもちろん黙示の許諾をも与えたことはなかったというべきである。
(三) なお、控訴人は、同一外観の営業店舗を各地に設け、その商号である「忠実屋」について営業上の信用や名声を博しているものであり、補助参加人としては、本件テナント契約により控訴人のテナントとなることにより、控訴人の信用、名声を利用して営業を有利に展開して利益を得ようとしたものであり、他方、控訴人は、その商標を大きく掲げた四階建て建物(屋上がある。)を店舗として自己の営業を行っているが、その店舗内の一部にテナントに出店を許すことにより、商品の多様化を図り、かつ、テナントに対して、被告店の統一的営業方針に従って、その繁栄と信用保持に最前の努力を尽くすことを要求するとともに、営業に関しては、営業時間、休日、商品等の搬入搬出、売上金の管理、取扱品目の変更禁止等の制約を課して、総合小売業としての店舗全体の営業を統一的に行っていたことが認められる。しかしながら、右に認定のとおり、控訴人は、本件テナント契約において、補助参加人に対し、明らかに控訴人の商号を利用する行為を禁止し、現に補助参加人は、控訴人の商号を用いて営業をしていたものではなく、また、本件テナント契約においては、控訴人がテナントに比して優越的地位にあることが認められるが、同契約における営業に関する種々の制約のうちには、店舗建物の管理や賃料の支払い確保の必要やテナント間の店舗建物の施設利用の調整を目的のために設けられたと解される条項も存するのであって、右事実をもって、控訴人が補助参加人に対して自己の商号使用について明示の承諾はもちろん黙示の許諾をも与えたものと解することはできない。
3 そこで、請求原因5(五)の主張について判断する。
(一) 前記認定した被告店のような営業形態においては、被告店に来店する買い物客のうちには、控訴人の直営売場と補助参加人らテナント店との営業主体の識別ができずに、テナント店を控訴人の直営売場であると誤認し、テナント店から商品を購入した場合でも、控訴人から購入したものと誤信する者が存するであろうことは否定できないところである。本件において、そのような場合における、買い物客と補助参加人らテナント店との取引行為に関する控訴人の責任については次のように解すべきである。
すなわち、控訴人において買い物客がそのような誤認をするのも止むを得ない外観を作出し、あるいは、補助参加人がそのような外観を作出したのを放置、容認していたものと認められる場合で、しかも、控訴人に商法二三条にいう商号使用の許諾と同視できる程度の帰責事由が存すると認められるときに、控訴人は、同規定の類推適用により、買い物客とテナント店との取引に関して、名板貸人と同様の責任を負うものと解するのが相当である。そして、右にいう外観は、買い物客が被告店内の個々のテナント店で買い物をする場合について、その店名の表示の有無、領収書の発行名義、包装紙や代済みテープ及び店員の服装の控訴人の売場との相違の有無など、テナント店の表示やその営業行為を全体的に観察して客観的に判断すべきである。したがって、前記のように、控訴人がその商号を掲げた四階建ての被告店において、テナント店をして自己の統一的営業方針に従わせて、総合小売業として統一的な営業を行っているということは、右判断の一事情ではあるということはできるが、そのことのみをもって直ちに控訴人において買い物客が右の誤認をすることが止むを得ない外観を作出したものであり、買い物客が被告店内の補助参加人らテナント店の営業を控訴人の営業と誤認することが通常避け難いということはできないというべきである。
(二) 被告店店内におけるテナント店の表示の状況及び控訴人の直営売場とテナント店の営業の相違等については、その店に関する原判決の理由(原判決三一枚目裏七行目の「昭和」から三六枚目表一行目まで)と同一であるから、これを引用する。ただし、次のとおり訂正する。
(1) 原判決三二枚目表一一行目の末尾に「なお、被控訴人らは、屋上に設置されていた子供遊戯施設「プレイランド」は控訴人において経営するものであると主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。」を加える。
(2) 同三三枚目表一一行目の「また、」の次に、「補助参加人を含む」を加える。
(3) 同三三枚目裏一〇行目の「制服」の次に「や名札」を加える。
(4) 同三四枚目表四行目の「いた他は、」の次に「テナントである秋坂商会が経営する」を加え、同行目の「称して」を「称する遊戯施設の」と改める。
(三) 右認定した事実関係の下においては、補助参加人の営業について、控訴人が自己の商号使用を許諾したのと同視できる程度の外観を作出したものと認めるに足りないといわなければならない。かえって、右事実によれば、営業主体の識別のために基本的にして重要な事項である、前述のテナント店の店名表示、被告店の館内表示、控訴人とテナント店の従業員の外観上の識別、代金支払い方法の独自性、領収書の発行名義の明記、包装紙等の区別などについて、控訴人は、補助参加人の店の前には、他のテナント店と同様にテナント名を記載した吊り看板を設け、館内表示板には、直営売場とテナント店とを区別し、補助参加人についてはテナント店であることを示す青文字で「ペットショップ八島」と表示し、また、補助参加人においても、店員が控訴人の従業員の制服や名札を着用することなく、独自に代金の支払いを受けて八島ペットと記載された領収書を発行し、包装紙や代済みテープも控訴人のものとは異なるものを使用していたことを総合勘案すれば、控訴人の直営売場とテナント店の営業主体の識別のための措置は一応講じられていたということができる。
なお、被控訴人らは、買い物客は館内表示板を見て買い物をするとは限らないし、仮に見たとしてもそれは売場の所在を知るためであって、それ自体からテナント店と控訴人の直営売場との区別を知るために利用するものではなく、小さな文字で、その文字の色彩によってテナント店と控訴人の直営売場の区別しているに過ぎない同表示板では、買い物客はその区別を判断できない旨主張する。確かに、館内表示板は、買い物客が常に見るものとは限らないから、それだけでは識別のための表示としては十分とはいえないものの、前示の同表示板の記載によれば、テナント店については店名を記載しているのであるから、それを見た買い物客としては一応の識別は可能であり、また、その表示と個々のテナント店での店名の表示等と併せて考慮すれば、被告店内では店全体としてみても補助参加人の営業と控訴人の営業とが異なるものであることを買い物客に表示されているという意味において、控訴人の責任の有無を判断するに際して無視し難い事情であるというべきである。
被控訴人らは、店内四階から屋上に上がる階段の上り口及び同階段の踊り場には、前記認定のとおり、ペットショップとプレイランドの案内板がそれぞれ設けられていたが、それらにテナント名として補助参加人と秋坂商会の記載がないことをもって、それらの経営は控訴人であることを示すものである旨主張する。しかし、それらの看板は補助参加人の店とプレイランドが、四階までの他の売場から外れた場所に存するために設けられた案内板に過ぎず、その表示が前示の店名表示や館内表示と相反する表示であるとは到底解することはできないから、右案内板の存在をもって前記判断を左右しない。
被控訴人らは、前記認定の、補助参加人が契約場所を大きくはみ出して階段にも商品を陳列して営業し、階段の壁に宣伝ビラを貼り出すなどしていたとの事実も、ペットショップが控訴人の営業であると誤認させる事情であると主張するが、そのことが直ちに補助参加人の営業を控訴人のそれと誤認させるに足りる事情であると解することはできない。
控訴人の直営売場である医薬品売場では、他の直営売場とは異なり、前記認定のとおり、従業員が控訴人の制服や名札を着用せず、白衣を着用し、代金の授受も同売場独自に行われていたが、右の事情は、同売場がテナント店であると誤認させる事情ではあるにしても、そのことの一事をもって、テナント店を控訴人の直営売場と誤認させる事情ということはできないし、まして、そのことが補助参加人の営業を控訴人の営業と誤認させる外観であるとは解することはできない。
4 以上によれば、被控訴人らの請求は、被控訴人らが主張する控訴人の責任原因をいずれも肯認することができないから、その余の点について判断するまでもなく、いずれも理由がない。
三以上のとおり、被控訴人らの本訴請求は理由がないから棄却すべきであり、これと異なりその請求の一部を認容した原判決はその限度で不当であるから、民訴法三八六条により、原判決中控訴人敗訴部分を取消し、被控訴人らの請求を棄却する。
訴訟費用の負担につき、同法九六条、九三条、八九条適用。
(裁判長裁判官髙橋欣一 裁判官吉原耕平 裁判官伊藤博は、転補につき署名捺印することができない。裁判長裁判官髙橋欣一)